パラリンピックの勇者
先日テレビで見たドイツのパラ選手のドキュメンタリーは感動しました。
マルクス・レーム選手は、14歳の時、水上スキーのようなスポーツを楽しんでいた最中、ボートにひかれ、右ひざから下を失います。
20歳で小学生の時やっていた走り幅跳びを再開。
現在32歳で、東京オリンピック直前に8m62cmのパラ世界記録を出しました。これはリオデジャネイロオリンピックの金メダル記録を24cm上回っています。
ドイツは東京オリンピックへの別枠での参加を希望しましたが、義足が人の足より有利に働いているかもわからないということで見送られました。
『サイボーグ009』や『ブレードランナー』や『ターミネーター』に感動してきた世代としては「それもあり得る」と思いますが、義足であれ本物の足であれ、それだけ跳べるのはすごい話です。
陸上用の義足はブレード(刃)と呼ばれるため、彼はブレードランナーならぬブレードジャンパーと呼ばれています。
幼児の頃から外遊びが大好きで、いろいろなことに挑戦する少年だったそうです。
そんな子が、日本では中二にあたる14歳のむずかしい年ごろで足を失ったなんて、こちらまで胸がつぶれる気がします。
ところが彼は当時を振り返って「あれは事故だったんだ。誰も恨んだことはない。」と言いきってました。明るいまなざしで。
現実がきびしくても、そこから幸せになっていくという勇気を、業界やジャンルの垣根を越えて与えてくれる、世界的な勇者だと思いました。